Basic Knowledge of
Boring Survey

ボーリング調査の基礎知識

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BASIC KNOWLEDGE OF
BORING SURVEY

ボーリング調査の基礎知識

01

土の分類

土を構成する土粒子の粒径の分布状態を粒度と言い、土粒子の粒径により土質が区分されています。

粒度は土の物理的性質や力学的性質と密接な関係があり、
粘性土(細粒土)と砂質土(粗粒土)の分類は支持力の算定上重要なものとなります。

例えばN値=5という値が得られた場合、砂質土層では「ゆるい」状態にあるものと判断されるとともに液状化の可能性が大きい不安定な地層ですが、同じN値の粘性土層では「硬い」状態に分類され、地表面近くに存在する洪積層においては10t/m2以上の地耐力を有する一応安定した地層と判断される場合があります。

img(地盤工学会より)
02

N値の利用

N値は地盤の硬軟を判定する指標的存在であり、N値より種々の物性との相関性が提案されています。

  • 砂質地盤の相対密度(締まり具合)、それに伴った地震時における液状化の簡易的判定。
  • 直接基礎における地盤支持力の算定に必要な砂質土における内部摩擦角、粘土層における一軸圧縮強度及び粘着力の推定。
  • 風化岩層におけるせん断抵抗角及び粘着力の提案。
  • 杭基礎の設計時における地盤の変形係数の提案。

N値によって得られる各地盤定数は平均的な目安値であり、利用に際しては粒度試験を含め、物理的試験を行う事が望ましいです。

03

支持層

支持層とは上部構造物の規模、基礎形式、周辺敷地状況及び地盤状況などからみて、構造物に有害な障害を与えないように建物を確実に支持できる地盤のことです。

一般的に言われる良質な支持層としては砂質地盤の場合N値=30以上、粘土質地盤の場合はN値=20以上とされ、また3m以上の層厚が望ましいとされています。

しかしながら、一般住宅等の小規模構造物の場合は荷重が小さく、支持力的には3~5t/m2(30~50kN/m2)が得られれば十分なものと思われます。むしろ軟弱地盤に対する不同沈下障害、地震時における液状化障害を考慮した基礎設計が重要と考えます。

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04

小規模建築物の基礎

構造物の支持層は、基礎に作用する荷重の規模によって異なりますが、直接基礎の場合は建築基準法施工令93条、及び日本建築学会の「建築基礎構造設計基準」B基準の値を参考した許容地耐力(目安として)が提案されています。(表-1)
この表を用いる際に対象となる地盤の範囲は布基礎の場合は基礎底面から基礎幅の2倍の深さまで、べた基礎の場合は基礎底面から建物幅の1~1.5倍の深さまでとしています。

尚、軟弱地盤・地震時の液状化問題、及び盛土・埋め立て土・隣地工事等により直接基礎の採用が適当でない場合には、杭基礎や摩擦杭が用いられ、支持杭(先端が堅固な地層に達したもの、及び中間の堅さの地層で支持するものの2種)・摩擦杭について、10~30cmの4種類の杭径における許容耐力の例も示されています。(表-2)

(表中の杭径10cm、15cmは鋼管杭を、杭径25cm、30cmはコンクリート杭を念頭においたものです。)
その他、軟弱層及び人為的土質の乱れが認められる盛土層等の層厚が薄い場合には、表層地盤改良工法が、最近では多く見られます。

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表-1 長期許容地耐力表
地盤 N値 長期許容地耐力
(t/m2)
土丹盤 30以上 30
礫層 密実なもの 50以上 60
密実でないもの 30以上 30
砂質地盤 密なもの 30~50 30
中位 20~30 20
10~20 10
※1 ゆるい 5~10 5
※1 非常にゆるい 5以下 3以下
粘土質地盤 非常に硬い 15~30 20
硬い 8~15 10
中位 4~8 5
※2 軟らかい 2~4 3
※2 非常に軟らかい 2以下 2以下
ローム層 硬い 5以上 15
やや硬い 3~5 10
※3 軟らかい 3以下 5以下

(注)
*1 液状化の検討を要す。
*2 過大な沈下に注意を要す。
*3 2次堆積土では長期許容地耐力2t/m2以下のこともある。

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表-2 単杭の許容耐力(t/本)
支持杭 1
杭経(cm) 10 15 25 30
施工法 打ち込み 2.0 5.0 15 18
埋め込み - 10 12
支持地盤の状況 img
支持杭 2
杭経(cm) 10 15 25 30
施工法 打ち込み 1.5 3.5 10 12
埋め込み - 7 8
支持地盤の状況 img
摩擦杭
杭経(cm) 10 15 25 30
施工法 打ち込み 1.5 2.5 5 7
埋め込み - 4 6
支持地盤の状況 img
05

地盤の液状化

液状化した地盤は支持力を完全に失ったり、見かけの剛性が低下することで、直接基礎の沈下と傾斜を引き起こす。また液状化、側方流動地盤で生じる動的および残留水平変位と沈下は杭基礎の被害につながることがある。
液状化した土は水の約2倍の単位体積重量をもつ液体のようにふるまうため、これより単位体積重量が小さい地下埋設物は浮力の増加と摩擦力の減少により浮き上がる。このような被害を防止する為、液状化地盤の基礎設計においては液状化発生の可能性予測に加え、それに伴う地盤剛性や地盤反力の低下、地盤変位の増加、土圧、浮力、摩擦力の変位などを把握して、その影響を適切に考慮し、必用に応じて適切な対策を施すことが望まれる。

建築基礎構造設計指針より

【液状化判定の対象とすべき土層】

液状化の判定を行う必要がある飽和土層は、一般に地表面から20m程度以浅の沖積層で、考慮すべき土の種類は、細粒土含有率が35%以下の土とされます。
ただし、細粒土含有率が35%以上の低塑性シルト、液性限界に近い含水比を持ったシルトが液状化した事例も報告されているので、粘土分(0.005mm以下の粒径を持つ土粒子)含有率が10%以下、または塑性指数が15%以下のシルト層では液状化の検討が必要です。

【液状化の判定】

当社では砂質土層(砂礫層~砂層)における粒度試験、及び粘性土層(シルト層~粘土層)における液・塑性限界試験を行い、「建築基礎構造設計指針:日本建築学会.2001(改訂版)」に規定されている液状化検討条件および計算方法により、各深度別また各水平加速度別に液状化の検討を行います。

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